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REPORT_01滋賀麻工業株式会社

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「j布」と聞くと 「j布」と聞くと私は地場産業として発展してきた日本各地の伝統的な織物を想います。それは、私が長らく地場産業に関わってきたからです。地域によって得意とする素材の特徴があり、技術の異なりがあり、日本にはそれぞれの自然環境や立地条件に応じた繊維産業が発展してきました。どこの繊維産業も然りですが、戦後はガチャマン産業と呼ばれるくらい景気の良い時代を経験してきました。その後の急激な市場の変革の中、生産現場を海外に移す産地が急増します。大量生産大量消費型の生産により経済は発展を遂げるのですが、行き過ぎた生産工程が環境破壊へと繋がってしまいました。SDGsを抜きにして語れない今、再び地方が注目されています。日本の織物産地にも仕事が戻ってきているように思います。昔ながらの技法を蘇らせたり、あくまでも天然素材にこだわったり、敢えて少量生産のものづくりが必要となってくる時代だと感じています。廃棄繊維が社会の大きな課題として講じられる中「つくる責任」は重要です。私も自身の産地のことしかわからない有様ですが、TDAの会員間で「j布」プロジェクトを通して、今も存在する産地の現状を確認し、コラボレーションの中で未来へのアプローチが出来たらと思います。 滋賀県という繊維産地 私が拠点とする琵琶湖の東、湖東地域は三重との県境鈴鹿の山から流れる愛知川の豊かな水と、琵琶湖からの湿潤な空気という環境、近江商人の活躍により古くから麻織物の産地として発展してきました。江戸時代には、彦根藩の振興によりさらに発展し、安定した地場産業となりました。滋賀県には湖西の綿織物、湖北の絹織物、湖東の麻織物と、天然繊維の三大産地を有しています。実は1つの県内で3大天然繊維の産地があるのは滋賀県が唯一とされています。湖東産地も、その時々に翻弄され海外生産も受け入れながらも、産地の特徴である一貫した生産工程を守り続けてきました。大量消費、大量生産からの脱却を掲げ、提案型の産地として地道に積み重ねてきました。 滋賀麻工業株式会社 今回私は、「近江の麻」の有望企業 「滋賀麻工業株式会社」 を紹介します。ともに湖東繊維工業協同組合の副理事として、産地振興の役割を担う山田清和さんの会社です。伝統的技法に基づくサスティナブル価値を提唱されています。具体的には、昭和19年(1944年)の創業以来、湖東地域で伝統産業「近江