REPORT_11 種から育てる布づくり/染∙織工房「初」作家 前田初代
染∙織工房「初」作家 前田初代 プロフィール 嵯峨美術短期大学卒業後、 川島テキスタイルスクールで 染織の基礎を学ぶ。 兵庫県立姫野生涯教育センターで 織の指導後、夫の転勤先パリ、 ロンドン、 ニューヨーク、 東京にて見聞を広げる。 帰国後2001年より実家、 兵庫県加古川にて 工房主宰。 まるでヨーロッパの郊外に訪れたかのようなご自宅の敷地内に、対照的な日本家屋の工房がある。敷地内にて藍、ハーブ、綿などを栽培し、身近な草花で染色・織のワークショップを開いている。また地元子供達へ染めによる自然学校の講師も務める。 2023年6月には「関⻄工芸文化協会」のフランスでの 展示会の出展も決定している。自然と寄り添いながら染めや織りを仲間と楽しむ前田さんの素敵なライフワークをレポート。 草木から色をもらって染める 自宅のテラスで染め物をしたり、綿をほぐす。庭先で生徒さん達と語らいながら、染めの準備。右上画像はミモザの花と葉で染めた布。 工房玄関の壁面には自作のシルクの藍染スカーフがグラデーションで展示され、⻘の敷物はお気に入りのアンティークとして展示会や旅先で購入。無地のラグは赤穂段通、帯のような布はろうけつ染で旅先のタイで購入。⻑尺の布は道しるべのように2階の工房へと続く。 階上では草木で染まった柔らかな色合いの糸玉が 織作業の順番を待つ。 糸玉自体が可愛らしいオブジェのようだ。 染め糸からの感動で織物レシピが生まれる 解放された見晴らしの良い景観。事前の予約は必要だが、生徒さん達に時間の制限はなく、工房へは自由な時間に織機に向かいながら作品作りが楽しめる。 解放された見晴らしの良い景観。事前の予約は必要だが、生徒さん達に時間の制限はなく、工房へは自由な時間に織機に向かいながら作品作りが楽しめる。タピストリーやショールなど作品づくりは様々。同じ糸でも精錬前と後で風合いが変わる。精錬後の柔らかな風合いはショールなどの衣類へ 精錬前のしっかりとした糸はインテリア素材として使用する。季節の草木の染め糸から、毎回わくわくした気分で織物レシピを考える。 糸に力があって、触れるとやさしい織物 普段は糸紡ぎ機で綿から撚り糸を作るが今回は毛糸用のスピンドルでざっくりとした不定形の力強い撚り糸を、綿本来の色を生かしながら織る。今、前田さんがもっとも意欲的に取り組む作品。見た目ざ