投稿

5月, 2021の投稿を表示しています

REPORT_02 (株)西山産業 白山工房 牛首紬

イメージ
「j布」伝統工芸品の布  「j布」ブランドとして、経済産業大臣が指定する「伝統的工芸品」としての染織品を生産する企業を今回は紹介したいと思います。日本の繊維産業の素晴らしさは、先端科学技術を製品化できる企業を擁する経済先進国でありながら、伝統の手仕事を継承する工房まで存在する奥深さだと言えるでしょう。今回紹介する(株)西山産業さんは、伝統の手仕事を継承し「牛首紬」を生産し続けている「白山工房」を運営しています。現在この牛首紬を織り続けている工房は「加藤手織牛首つむぎ」さんと今回紹介する「白山工房」の二つの工房のみです。 「牛首紬」の起源 「白山工房」のある石川県白山市白峰という地は、霊峰白山の麓にある典型的な雪深い山村で、古くから養蚕や大麻栽培が盛んに行われてきました。白峰は手取川の上流に接する地であり、織物業に不可欠な水の豊かな地です。今の白峰は、牛首村、桑島村、下田原村が合併し、白峰村となり現在に至ります。手取川ダムに沈んでしまった旧桑島村を中心に栽培されていた大麻を原料として、かつては麻織物も織られていました。この地で盛んだった養蚕で、生糸の原料として売れない屑繭、玉繭を糸にし、牛首村中心に織られていた普段着の為の布が「牛首紬」の起源とされ、その地名がつけられました。名前の由来は、伝承によれば平治の乱(1159年)で敗れ、牛首に流れてきた源氏の落人、大畠某の妻女が機織の技を伝授したのがその始まりとされています。 (株)西山産業と繊維業 元々、白山市白峰を創業の地とする建設業の会社ですが、戦後まもなく途絶えかけていた「牛首紬」を産業として復興させました。現在も伝統的な手法、技法で「牛首紬」を生産し、生産工程は織りの資料館として一般公開しています。なお、「白山紬」もかつて金沢市内で織られていた機屋さんが廃業してしまい、登録商標を譲り受け、現在は鶴来工場で織られています。「白山紬」は、もともとは石川県白峰村で織り出された紬で、現在の牛首紬と同じ起源でした。(株)西山産業さんは、地元の失いかけていた染織文化を復興し、継承すべき伝統文化を大切に守ってきた企業です。(写真:牛首紬) 「白山紬」と「牛首紬」 白山紬」は、機械動力式の織機である力織機で織られている紬織物として、登録商標されています。「白山紬」に使われている糸は、経糸は生糸で緯糸のみ節糸が使われています。「白山