REPORT_21 TDA福井産地見学ツアー
今回は、2024年11月14日(木)に開催したTDA産地見学ツアーの様子をレポートします。訪問先は、カーテンの製造・販売を手がける 株式会社カズマ と 株式会社エイト の二社です。
【株式会社カズマ】福井市八重巻町
2023年10月開催の mini mimi expoで、TDAの賛助会員として出展していた株式会社カズマの工場長・東由里絵(ひがし ゆりえ)さんと出会いました。カズマさんが出展されていた、カーテンの生地ミミを活用した素敵な作品の数々に惹かれると同時に、若い女性である東さんが工場長を務めていることにも興味を持ちました。また、製造統括部の 田中滋(たなか しげる)さんとは産地同士の話で盛り上がり、工場見学が可能であることを知りました。そこで、私が所属する湖東繊維工業協同組合での見学をお願いしました。このご縁がきっかけとなり、TDAの産地見学ツアーが実現しました。
①(株)カズマの概要ならびにSDGsへの取り組み
企業理念「絆」経済・豊かさの創造
スローガン「”変わる”を恐れず挑戦をし続ける」
田中さんより、大変丁寧な説明を受け、企業の努力や理念に深く感銘を受けました。
特にアップサイクル商品の開発では、生地ミミを縫い合わせる作業を福祉施設に依頼し、地域と連携している点が印象的でした。また、夏休みの子供企画として、「お母さんの働く職場を知る」「お母さんの仕事を理解する」「お母さんと一緒に作業しながら縫製の楽しさを体験する」といった取り組みも実施されています。女性従業員が8割を占める職場ならではの、温かく魅力的な発想だと感じました。
②工場内見学
壮大な工場を、工程の順に沿って見学させていただきました。まず目を引いたのは、明るく整理整頓された清潔感あふれる環境です。そして次に気づいたのは、従業員の若さと女性の割合の高さでした。一心不乱にミシンを操る指先には、美しく施されたネイル。制服の帽子やエプロンもおしゃれで、若い女性の気持ちを大切にした職場であることが伝わってきました。また、働く人々の動きは機敏で、オートメーション化された工程と手作業の工程が絶妙に組み合わさり、効率の良さが感じられました。
③ランチ交流会
株式会社カズマの皆さん4名とともに、福井名物の「海鮮丼」を味わいながら交流を深めました。工場見学の感想を共有したり、仕事に関する悩みや意見を交わしたりと、終始和やかな時間が流れました。
④ショールーム見学
ショールームでは、社内プロジェクト関連の商品や、鮎川工場で作られた編みレースが展示・販売されていました。プロジェクトに携わった方から説明を受けながら、お気に入りの商品を見つけたり、意見交換をしたりと充実した時間を過ごしました。また、テキスタイルデザインに関わるメンバーの見学ということで、先方もアドバイスを期待されていたようでした。社内で商品を開発し、さらに実際の販売を通じてお客様の反応を直接見ることができる環境があるのは、とても素晴らしいと感じました。
【株式会社エイト】福井県坂井市丸岡町
2023年4月に開催された「紙博&布博 in 京都」で、リボンブランド「レピヤンリボン」のブースに目が留まりました。チロリアンテープとして親しまれてきた懐かしいデザインのカラフルなリボンや、シンプルで洗練されたリボンが素敵にディスプレイされており、思わず足を止めました。さらに、古いシャトル織機でリボンが織られる様子が動画で紹介されており、その伝統的な技術に強く惹かれました。ブースでは、スタッフの中村さんに商品の説明を受け、工場見学が可能であること、さらにショップを併設した「リボンカフェ」が近々オープン予定であることを知りました。そこで、ぜひ訪れたい産地リストに加えました。
その半年後、株式会社カズマさんとのご縁も重なり、湖東繊維工業協同組合の産地見学会を企画することに。その訪問先のひとつとして、株式会社エイトさんにも伺うことが決まりました。そして、この組合の産地見学会が下見となり、今回のTDA産地見学ツアーへと繋がっていきました。
①(株)エイトの概要
エイトリボンは、ジャカードリボンの一種であり、手芸用織リボンである“チロルリボン”などの細幅織物を、旧式のジャカードシャトル織機を使って織る日本最大級のリボン工場です。その前身である『丸岡エイトリボン協業組合』は、1961年に8社のリボン工場によって創設されましたが、2015年に54年の歴史に幕を閉じ、一度廃業。しかし、その後、親会社である株式会社松川レピヤンが経営を引き継ぎ、伝統技術を活かした工場として再生されました。
エイトリボンの主な製品は、別名「チロリアンテープ」とも呼ばれる、カラフルな模様が織り込まれた美しく可愛らしい装飾用リボンです。花柄や幾何学模様といった懐かしくレトロなデザインから、モダンで洗練された柄まで、バリエーションは多彩。デザイナーズブランドからも注目を集めています。そのほか、ジャカードリボンや織ネーム、さらにはパイロットや鉄道の制服に使われる階級章用の金属線テープなど、幅広い製品を製造されています。
②工場内見学
現在は、オリジナルリボンブランド「レピヤンリボン」を展開されており、工場見学では、そのレピヤンリボンがゆっくりと織り上がる様子を間近で見ることができます。古いシャトル織機で、何本ものリボンが同時に織られていく光景は、まさに感動的でした。工場は丁寧にリノベーションされ、見学を通じて広く一般に開かれた場となっており、地場産業の魅力や伝統技術を発信されている姿がとても印象的でした。働く方々も若く、ユニフォームもおしゃれで、現場全体からは活気とともに、明るい将来性が感じられました。
③ファクトリーショップ&カフェ「RIBBON’S CAFE」
敷地内には、可愛らしい外観のファクトリーカフェが併設されており、リボンショップ・ワークショップ・カフェの3つのスペースがひとつになった、訪れるだけで心が躍るような空間です。ドアを開けた瞬間に広がる世界は、手芸好きやリボン好きにはたまらない魅力にあふれており、ゆったりとした時間のなかで、リボンや手芸の楽しさをじっくり味わうことができます。ミシンスペースでは、購入したリボンを使ってその場で自分だけの作品づくりに挑戦することもでき、創作意欲をくすぐられる素敵な場所でした。
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株式会社カズマ https://e-kazuma.jp/
株式会社カズマショールーム https://e-kazuma.jp/shop/
エイトリボン(㈱エイト) https://eightribbon.jp/
オリジナルリボンブランド https://rapyarnribbon.jp/home
RIBBON’S CAFÉ https://ribbonscafe.jp/
REPORTER : 北川陽子 (TDA執行委員)
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